作品名・作者名 |
あらすじ |
表 紙 |
感想文 |
おすすめ度・評価 |
『リトル・バイ・リトル』
島本理生(講談社) |
これは高校生作家の芥川賞候補として話題になった作品である。内容としては、著者があとがきでも述べている通り、「淡々と流れていく日々」を描いた、非常に単純かつ平凡な生活空間が中心である。現役高校生が書いた作品と思えば、それなりに凄いなと感じるが、芥川賞を受賞するには軽すぎる内容であった。特に彼女の他の作品を読みたいとも思わせないし、まさに「平凡」な作品であると思われる。
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『ブッシュの戦争』
ボブ・ウッドワード(日本経済新聞社) |
衝撃のニューヨーク同時多発テロからアフガン戦争、そしてイラク戦争まで、アメリカブッシュ大統領と彼をとりまく政治家の、舞台裏での駆け引きを、膨大な調査をもとに記していったものがこの書である。驚くほど詳細な記述に、その取材力の凄さが伺えるが、それ以上に、なぜあのような戦争に至らなければならなかったのかということを考えさせられる書であった。
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『僕の生きる道』
橋部敦子(角川書店) |
胃ガンにより28歳の若さで余命1年と宣告された高校教師中村は、当初自分の運命を受け入れる事が出来ずにいる。しかし心優しい医師との関わりから徐々に自分の運命を受け入れ、残りの人生を精一杯生きる決意をする。そして焦がれていたみどり先生との恋愛もうまく進み、また教師中村としても非常に充実した日々が続いていく。ふとするとずっと生きられるのではないかという錯覚さえ覚えるくらいに。しかし病魔はゆっくり、しかし立ち止まることなく中村の体を蝕んでいく……。
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これはフジテレビ系列で上映されたドラマをノベライズ化したものである。久しぶりに感動したドラマであったので、本も購入したが、何度見ても読んでも感動する話である。人は誰しもいつかは死ぬものであるが、それがいつやって来るかは当然分からない。しかし中村のように1年と宣告されたら、残りの人生をどう自分なら生きるであろうか。非常に考えさせられる内容であった。ちなみにドラマを見て矢田亜希子に完全にハマッてしまいました(笑)
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『記憶/物語』
岡真理(岩波書店) |
様々な戦争体験を中心に人間の「記憶」とは何かということを論じた書である。内容的にも非常に理解しやすく書かれているので、専門的な書というよりは、一般向けに書かれたものであろう。ただ「記憶」を論じているはずの書であるにもかかわらず、どっちかというと戦争の悲惨さに重きを置かれていて、どうも題名と合っていないような印象を受けた。
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『バースデイ・ストーリーズ』
村上春樹編訳 (中公公論新社) |
誕生日にまつわる海外の短編小説11を集めたものであるが、僕が共感できる作品が少なかったことが残念である。
《収録作品》
・『ムーア人』 ラッセル・バンクス
・『ダンダン』 デニス・ジョンソン
・『ティモシーの誕生日』 ウィリアム・トレヴァー
・『バースディ・ケーキ』 ダニエル・ライオンズ
・『皮膚のない皇帝』 リンダ・セクソン
・『ダイズ・ゲーム』 ポール・セロー
・『永遠の頭上に』 デイヴィッド・フォスター・ウォレンス
・『慈悲の天使。怒りの天使』 イーサン・ケイニン
・『バースディ・プレゼント』 アンドレア・リー
・『風呂』 レイモンド・カーヴァー
・『バースディ・ガール』 村上春樹
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『モモに憑かれて』
吉永尚子 (『文學界』 2003年4月号) |
これは第33回九州芸術祭文学賞受賞作であるが、内容としては隣人との妙な関係を描いていくテーマは面白い。しかし、徐々にストーリー展開に無理というか非現実的な部分が多くなり、それでいて隣人の引っ越しによる互いの関係が途切れるというありきたりな結末に、いまいち違和感を感じた。
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『ラジオ・エチオピア』
蓮見圭一 (『文學界』 2003年4月号) |
メールという手段を使った二人の恋愛事情は、近代の恋愛事情を象徴しているようで、内容的にはそれほど山場らしきものは見あたらないが、落ち着いた雰囲気が非常に好印象であった。
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『飾磨』
車谷長吉 (『文學界』 2003年4月号) |
率直に言って内容が単調で、結末も不明確な小説であった。よって主題が何であるかも分からず読み終えてしまった。また難しい漢語も多用しているが、それが内容・文章上に生きていない印象も受けた。
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『しょっぱいドライブ』
大道珠貴(文藝春秋) |
これは弟128回芥川賞の受賞作であるが、やはり近年の芥川賞のレベルは低くなっているように思う。この作品も、歯切れの良い文体は読んでいて心地よい印象を受けるが、内容としては単調の域を出ない。「わたし」という人物設定がいまいち未完成であるように思えた。次回の受賞作を期待したい。
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『そこに僕はいた』
辻仁成(新潮文庫) |
筆者の青年期を語るエッセイ集であるが、単なる思い出話を越えた何かを感じる作品になっている。友人の大切さを再認識させられる書であった。
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