「 ファーブル昆虫記 」 で育った子どもたちは、世界中の虫を通じて 別世界に
旅に出ます。
” 虫の虫 ”だった生物学者:福岡伸一先生も 「 驚くような色や形をした蝶や
甲虫にあこがれ そしていつも不思議に思っていた。 」 そうです。
「 ゴライアスオオツノハナムグリ という甲虫。 ミイロタテハ という可憐な
蝶。 それぞれ、どこに棲息しているか、言い当てられますか ? 」
「 じっと見つめていると、不思議なことにわかってくる。 」 と ・ ・ ・ 。
◎ ゴライアスオオツノハナムグリ ◎
甲虫の背中、深い紫がかった黒にくっきりと大書きされた大胆な白い文様。
とってもアフリカっぽい。 密林に隠れ住む原住民の男たちが顔に塗っている
ペイントそっくりだ。
事実、この巨大な甲虫は、コンゴのジャングルの奥深くに産する。
( 以上、福岡先生のコラムから抜粋 )
アフリカ大陸に生息する大型のハナムグリのことです。
大型の個体は体長が100mmを越え、大高・体幅も大きい。アフリカでは最も大きく
また、世界一重い昆虫とされています。
前胸後縁は鋭い”ナイフ”のように発達し、関節を強く反らせることで、物を
挟み切断することができます。 これは、天敵である各種のサルや鳥類への
防衛手段と考えられています。
右写真 : ゴライアスオオツノハナムグリ のオスです。
◎ ミイロタテハ ◎
渦巻きに似たミステリアスな意匠が、太い曲線で描かれている。 その周囲
にモザイクタイルのように並んだ青光りする四角い斑点。 まるでインカ
模様ではないか。
そう、南米の宝石、かつてインカ帝国が栄えていた地域に特産の美しい蝶
なのだ。 ( 以上、福岡先生のコラムから抜粋 )
中南米に棲息するタテハチョウ科に分類されるチョウの1属です。
この気品あふれる熱帯の蝶は、まるで自然界に数々ある色彩のうち、最も
彩り良い部分が このチョウに浴びせられたかのようで そまさに 「 タテハ
チョウ科の華麗なる一族 」 の呼び名に相応しい蝶とされています。
右写真 : 華麗なミイロタテハ です。
甲虫がアフリカの習俗を真似たわけでなく、蝶が南米の文化を踏襲したわけ
でもないと思います。
虫たちは何千万年、何億年もの間、そこにいました。人はずっとあとになって
わずかにその場所の一部を譲ってもらって、住み始めたにすぎないのです。
私たちは、このささやかな自然も含め 大自然に感謝しながら畏怖の念を
もって 地球を大切にし 人間文化 を育んでいかなければなりません。