ルーヴル美術館展


” 地中海をめぐる4000年の旅へ ” というテーマで 「 ルーヴル美術館展 」 が、 東京都美術館で開催されています。
ルーヴル美術館には、エジプト文明、エーゲ文明そいてギリシャ・ローマ文明の遺産 が集積されています。
それらの文明に加え、古代エリエント美術、イスラム美術、絵画、彫刻、工芸品、素描、 版画、など全8美術部門が総力を挙げて ” 地中海 ” をテーマに200点を超える 多彩な作品を展示していました。

右写真 : ルーヴルの女神 ( ギャビーのディアナ ) の頭部像です。


◎ バルコニーの女性たち ◎

会場を彩る多くの美術品の中で 強く印象に残っているのは、第X章 「 地中海紀行 (1750〜1850) 」 作品群にある テオドール・シャセリオー の 「 バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性たち 」 ( H 35p   L 25cm ) でした。

青空を背景に何やら語り合う二人の女性。
右側の女性は青み帯びた緑の地に格子模様の衣をまとい、左側女性は斜め模様 の赤い衣装を付けています。
紺碧の空のもと2人の衣装は 赤と緑の華やかさで、白、赤、緑と画面を大きく 三分しています。
また、逆光の中で振り向く 煌びやかな耳飾りと腕輪をつけた女性の表情は、 東方へのエキゾティシムズを感じました。

或る日本人女性画家は、こんな論評を記しています。
ローアングルからのショットにより、画面に動きが生まれ映画のワンシーン を思わせる。
もしも、人物と同じ目線で描かれていたなら、バルコニーの下に広がる街並み の位置は動いて、画面の安定感を支える青空の面積は縮小し、ダイナミックな 動きが減って平凡なものになってしまうだろう。
  ( 原文のまま引用 )

鑑賞者で混み合う会場の中で、総合案内の表紙を飾るほどの 「 ユダヤの女性たち 」 の前は、不思議なことに誰一人いませんでした。   私は導かれるように、 この作品の前にたち、テオドール・シャセリオー画伯 と 論評を書いた女性画家 の鋭い洞察眼に、驚愕するばかりでした。

右写真 : 「 バルコニーにいるアルジェのユダヤ女性たち 」 です。


長い入場待ち時間を経て、約200点のルーヴル展示作品を鑑賞しました。
少ない鑑賞時間でしたが、小さな作品も含めて全ての展示作品が脳裏に残って います。
やはり 選りすぐられたルーヴルの美術作品だったからでしょうか。  ブラボー !

あの混雑のなか、奇跡的に 誰一人いない 「 ユダヤの女性たち 」 の前で、 思う存分鑑賞出来たことは、ルーヴル美術館の女神の導きがあっての事と思って います。  ブラボー !  ブラボー !  ブラボー !


トップページに戻ります。