戦没画学生たちの青春の息吹きを伝える数々の作品を展示する 長野県・上田市 「 無言館 」
からの出展により 「 横浜赤レンガ倉庫 」 で 、画学生たちの 「 祈りの絵 」 の精神を
伝えるための 巡回展覧会 が開催されました。
会場正面入口に、蜂谷 清 さん (享年22歳) が描く 「 祖母の像 」 が私たちを迎えます。
「 清 」 は この絵を描きながら、 「 ばあやん、わしもいつかは戦争に行かねばならん。
そしたら、こうしてばあやんの絵も描けなくなる 」 と言った。
祖母 「 なつ 」 は うっすらと涙をうかべただけで何もいわなかった。
(以上、解説文より抜粋しました)
右写真 : 「 祖母の像 」 ( 画 : 蜂谷 清 )
会場には 画学生の作品165点 他数多くの資料 が展示されていました。
そのうち、印象に残る作品 (独断偏見を深謝)
を取り上げてみました。
◎ 妹・和子の像 ◎
この作品から、優しい兄が描いた 思いっきり清純で美しい妹 の面影が伝わってきました。
画学生 太田 章 さん (享年23歳) の心情溢れる作品の日本画技法の素晴らしさは、一流の
友禅染めの職人であった父の才能を受け継いでいるのでしょうか ?
(現在、日経紙上に連載中の 「 等伯 」 の 長谷川 宗清 ・ 春信、父子 の姿を
彷彿させます)
「 この絵はやさしかった兄・章が 私にのこしてくれた唯一の贈りものなんです 」と妹の和子さん
はいった。
18歳の妹さんを描いた兄とは 四つ違い。 いつも遠くをみているような澄んだ眼の兄だった。
(以上、解説文より抜粋しました)
妹・和子さんは、戦後ずっとこの兄の絵とともに 暮してきたそうです。
右写真 : 「 妹・和子の像 」 ( 画 : 太田 章 )
◎ 培風寮炊事場 ◎
化粧品会社の宣伝部に勤務して、「クラブ歯磨」の広告デザインなどを制作していた
吉田 二三男 さんは、画壇でも注目されていました。
東京・豊島区の多くの画家や詩人が住んでいる名物アパート 培風寮 の炊事場のスケッチ
に、 『 - OKAZU O TAKU TOKORO - 』 とあり、鍋には魚が2尾入っています。
入営後も屈託のないマンガばかり描いていたという二三男、遺した日記に書いていました、、、、、
「七十になっても八十になっても、絵筆を離したくない」
(以上、解説文より抜粋しました)
心優しさ滲む 「 風景・平潟 」 などの作品と、 このスケッチ のように、マンガや
絵本の挿絵にも その才能を発揮していたそうです。
右写真 : 「 培風寮炊事場 」 ( 画 : 吉田 二三男 )
◎ 天女の像 ◎
会場の片隅に置かれた小さな作品でしたが、私には等身大 或いはそれ以上
大きな天女 に思えました。
純真な画学生 小柏 太郎 さん(享年26歳) の心に刻む 「 天女 」 は、
このよに美しく表現されたのでしょう。
自ら兵役を志願し 「 勇躍新任地に出征す。又、男子の本懐なり 」 と、
出征の日、ほんの一時の面会だったが、別れ際に妹の耳もとでつぶやいた。
今、妹さんは、「 兄はいつもそういうときに反対のことをしてみせる人でした。
そういう気性が、自らすすんで兵役を志願させたのかもしれませんね。」 と
語っています。
(以上、解説文より抜粋しました)
いつも気丈な 小柏 太郎 さんでしたが、本心は 「 天女の像 」のように
心優しい 『 平和の天使 』 のような人だったのでしょうか ?
右写真 : 「 天女の像 」 ( 画 : 小柏 太郎 )
◎ 茄子(屏風絵) ◎
文化勲章をとられた 日本画家・小野竹喬 さん のご息子である 画学生 小野 春男 さん
(享年26歳) が描かれたのは、京野菜のふっくらとした「 茄子 」 でした。
小野さん(京都出身)の故郷への強い思いが 溢れていました。
この絵を見ているとね。 やはり今生きてたらお父さんの血をひいてステキな日本画を
描いてただろうなと思います。
おそらくお父さんは心の中では「おまえには芸術があるぞ、おまえには絵があるぞ」
と呼びかけてたでしょう。
(以上、解説文より抜粋しました)
画家を志していた長男春男 さんの戦死に接した 父・小野 竹喬さん は、息子に代わって
あの有名な 「 夕茜 」 や 「 宿雪 」 を世に送り出したのでしょうか ?
右写真 : 「 茄子(屏風絵) 」 ( 画 : 小野 春男 )
「 無言館 」 所蔵作品による 『 戦没画学生「 祈りの絵 」展 』 に、若いご両親に
連れられて来た 3歳位の女の子が 食い入るように この「茄子(屏風絵)」を見つめて
いました。
優しそうなお母さんのお話に頷きながら、この子は 「 平和への祈り 」 を感じたことでしょう。
「 赤レンガ倉庫 」 前広場では、アイドルの 「 中川翔子 」 さんのイベントが開催
されていました。
6月の大雨にも拘わらず 大勢の若人が ”握手” を求めて参加していました。
中にはコスプレ姿の母親に連れられた可愛らしいコスプレお譲ちゃんもはしゃいでいました。
「 永遠の平和日本 」 を 祈りましょう !