私は 73年前、甲斐の国に生まれ、22歳まで 「 甲州弁 」 に育まれながら成長してきました。
ときどき、 故郷の友人たちと会うと、 「 甲州弁 」 が飛び出し、懐かしく思ったり(?)しています。
ある本屋の片隅の書棚 から 「 Can you speak 甲州弁 ? 」 と 問いかけられました。
思わず振り返り、 「 Can you speak 甲州弁 ? 」 という本を 買ってきました。
◎ Can you speek 甲州弁 ? ◎
著者は、山梨県八田村出身 ( 現 : 南アルプス市 ) の五緒川 津平太 ( ごちょがわ つっぺた )
さんです。
その内容は、 「 県外からのお嫁さんのための甲州弁相談 」 、 「 がんばれ甲州弁 」 、
「 山梨のおばちゃん語 」 、などなど、 面白い甲州弁談義が記されています。
その一章に、 「 果たして甲州弁はパソコン時代を乗り切れるか ? 」 という興味深い話が
ありましたので紹介しましょう!
甲州弁をキーボード入力するととんでもない誤変換をしてしまう というお話です。
( 以下、原文の一部を そのまま引用しました )
「 お乱闘 」 ――― おらんとう (甲州弁) ― わたしたち (標準語)
「 一皿 」 ――― いっさら (甲州弁) ― 全然 (標準語)
「 チャック委 」 ――― ちゃっくい (甲州弁) ― ずるい (標準語)
「 夜間荒れる 」 ――― よまぁれる (甲州弁)― しかられる (標準語)
と、 まぁ こんな具合です。 是非一度お読みになって下さい!
みなさんの ふるさと言葉を キーボード入力してみては如何でしょうか ?
右写真 : 「 Can you speak 甲州弁 ? 」 の 愉快な表紙 です。
◎ 小学生時代 の 出来事 ◎
小学6年生時代の思い出 を 甲州弁 で記してみました。 さてさて、如何なことになるでしょうか ?
( 60年も前のお話が、本当に甲州弁 ( 下記の赤字部分 ) で語られているか不安
ですが ? )
十五夜の晩、あばけもん の おらんとう 七人は、
“月見ダンゴ”と“柿の実”を ヤリ で ふんだくろう と計画しました。
もともと ぶきっちょ な 私は、参加は無理だったかも知れませんが、
ちょびちょび と てんどう ことになりました。
でっけえ 屋敷の へーえ を
なんちょうにか 乗り越えることが出来ました。しかし、何となく人の気配を感じました。
それでも あけーく 熟した柿を いっぺえ ポケットにつめ、
山盛りのダンゴにヤリを突き刺した瞬間、おっちゃん に
めっけられ ました。 「 おらんとう は
へえだめどう ! 」 と こしっぽね を抜かしました。
おっちゃん は よたぼこ たちがダンゴを突き刺すまで、
いっさら 知らんぷりをしていたのです。
なんと、おっちゃん は、おらんとう を家に のぼらせ て、
「 はぁく たんと くえし 」 と準備した柿とダンゴをごっそう
してくれました。
よたぼこ たちの だっちもねえ おはなしでしたが
おこっちょ し。
訳語:
あばけもん―――暴れ者、 おらんとう―――僕たち、 ふんだくろう―――盗み取る、
ぶきっちょ―――不器用、 ちょびちょび―――調子に乗って、 てんどう―――手伝う、
でっけえ―――大きな、 へーえ―――塀、 なんちょうにか―――どうにかこうにか、
おっちゃん―――ご主人、 あけーく―――赤く、 いっぺえ―――いっぱい、
めっけられ―――見つけられ、 へえだめどう―――もうだめだ、 こしっぽね―――腰、
よたぼこ―――悪童、 いっさら―――全く、 ぜんぜん、 のぼらせ―――家にあがる、
はぁく たんと くえし―――早く沢山食べなさい、 ごっそう―――ごちそう、
だっちもねえ―――くだらない、 おこっちょ し―――怒らないで、
右写真 : 私の小学生時代です。 ( 右から二人目のよたぼこ が 私 です ! )