蜘蛛 と 郭公


” アーサー ・ ビナード ” さん ( 詩集 「 釣り上げては 」 で 中原中也賞を 受賞した 米国生まれの詩人 ) が執筆された コラムが或る新聞紙上に掲載されて いました。
アメリカ人が慣れ親しんだ 「 蜘蛛の歌 」 と 日本人が慣れ親しんだ 「 郭公の歌 」 の共通点から 「 歌の内蔵型自動PR装置 」 という表題で、大変面白いお話でした。
そこで いつもの通り独断と偏見で ・ ・ ・ ・ ・ ?


♪ 蜘蛛の歌 ♪

  ♪ アメリカの童謡 ♪
ある晴れた日、小さな蜘蛛さんが散歩に出かけました。
高い屋根を眺めて、雨樋を探検したくなりました。
縦樋の中に入り ヨイショ、ヨイショ、と登りました。
その時、ザーツと大雨が降り、雨樋は激流となりました。
可愛そうに、蜘蛛さんは外へ放り出されました。
しばらくすると空が晴れ上がりました。
 ・ ・ ・ ( 繰り返し ) ・ ・ ・
そこで、 小さな蜘蛛さんは もう一度その縦樋に入り ・ ・ ・

こうして、小さな蜘蛛さんの散歩のお話は 繰り返し続きます。

アメリカ各地で、 このお話は  " Itsy Bitsy Spider " という童謡となり、 古くから歌い継がれてきました。
勿論、ビナード さんも 子どもの頃から 何回も何回も 繰り返し歌い、回数では 彼のヒットチャート で不動のナンバーワンだったそうです。

下写真 : 樋を登る 「 小さな蜘蛛さん 」 です。


♪ 郭公の歌 ♪

  ♪日本の童謡♪
静かな湖畔の 森のかげから
もう起きちゃいかがと カッコが鳴く
カッコ カッコ カッコ カッコ カッコ
静かな湖畔の 森の陰から
おやすみなさいと フクロウ鳴く
ホホ  ホホ  ホホ  ホホ  ホホ

こうして、早朝の郭公さんから夜中の梟さんのお話は 繰り返し延々と続きます。

この歌は、 「 静かな湖畔 」 という曲名で、聞きなれたメロディーですね。
私たちも子どもの頃、繰り返し繰り返し歌い続けた記憶があります。

右写真 : きれいな声で鳴く 「 郭公 」 です。


《 歌の内蔵型自動PR装置 》

アーサー ・ ビナード さん は、
来日してほどなく、 ” Itsy Bitsy Spider ” ( 小さな蜘蛛 ) のあの同じ メロディーが、日本では ” 静かな湖畔 ” ( カッコウの歌 ) というタイトル で歌われ、 なんと蜘蛛さんが鳥さんに化けていることを知りました。
同じメロディーの二つの歌は、繰り返し歌うように 巧に組み立てられ、 「 もう一回 」 歌おう と誘うようなっています。
そのお陰もあって、二つの歌は 米国や日本の童謡のヒットチャートの頂点に登り つめることが出来ました。
本当に見事な 「 歌の内蔵型自動PR装置 」 といえます。
と、 このように 二つの歌の共通点 ( 同じ原曲 ) から、愉快な結論を述べていました。  流石ですね !

下写真 : 「 カノン 」 ( 輪唱 ) の楽譜の一部です。


今回、 「 小さな蜘蛛 」 や 「 静かな湖畔 」 の歌を カノン ( 輪唱 ) 形式 ということを知りました。
他にも 「 かえるの歌 」 などありますが、小さな動物たちの可愛らしい 動作や泣き声が、前のメロディと重なってきれいなハーモニーになっています。
私も、シャンソンをきれいなハーモニーで歌えるように 一生懸命 精進して まいります !


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