冬の季語(2)


秋も深まり、葉が色づき、落ち葉になる中で、古ぼけた我が家には すきま風が 冷たく通り抜ける季節となりました。
今日も、 「 冬型の気圧配置が続くでしょう。 北日本の日本海側は雪でふぶく所があり そうです。 太平洋側の各地は また風が強く、海上は波の高い状態が続くでしょう。 」 と気象情報が流れています。

そこで、 「 冬の季語 (2) 」 を歳時記からひろってみました。  ( 「日本の歳時記」 から抜粋 )


◎ 鎌鼬 (かまいたち) ◎

鎌鼬は 古くから 甲信越地方に多く伝えられる妖怪で、 つむじ風に乗って現れ、 鎌のような両手の爪で人に切りつけるものだと言われていました。
近代では、旋風の中心に出来る真空または非常な低圧により皮膚や肉が裂かれる現象 で、鋭い傷を受けるが痛みはない と説明されていました。
現在では、皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされるために組織が変性して裂けて しまう現象であると考えられているそうです。  妖怪にも勝る怖い現象ですね?

歳時記には、
他に ” 鎌風 ” が 三冬の季語 としてあげられています。

右写真 : イタチの妖怪として描かれた 「 窮奇 」 (かまいたち) の図です。


「 鎌鼬 」 余禄
昭和20年、甲府空襲の直後、私は「鎌鼬」に遭遇(?)し、左ふくらはぎに 大きな傷を 受けました。
親からは「真空状態で皮膚と肉が引き裂かれた」と 戦前らしい説明を聴きました。
空襲直後だった為、病院設備も満足でない状況で、13針も縫う大手術を受けました。
「 本来は20針以上の接合が必要であったが、麻酔も無い状況で小学2年生が大暴れしたので 止もう得ず 13針で終わらせた 」 と先生から言われました。
今でも、 鎌鼬 の傷は ケロイド状に はっきりと残っています。


◎ 北風 ◎

大陸に発達したシベリア高気圧が 北太平洋上のアリューシャン低気圧へ向かって吹く季節風 が、日本海上で湿気を帯び 本州の中央山脈に当たって、日本海側に雪を降らせ、 太平洋側には乾いた ” 北風 ” となって吹き荒れます。
子どもの頃、 ” 甲州の空っ風 ” のなかで ほっぺを真っ赤にして 元気に遊んでいたことを 思い出します !

歳時記には、
” 朔風 ” 、 ” 朝北風 ” 、 ” 北吹く ” などの言葉が 三冬の季語 としてあげられています。

右写真 : 枯れた湿地帯を吹き抜ける ” 北風 ” です。


◎ 山茶花 ◎

冬の初めの花で 紅、白、薄紅、斑入りの紅 などの色があります。
春咲く椿の花に似ていますが、椿より はかなげに 咲き、はかなげに 散ります。
「 山茶 」 は中国の椿のことで、山茶花という名前はこれを借りて日本でつくられました。
初めは 「 さんざか 」 と読んでいましたが、江戸時代になると 「ん」 と 「ざ」 が入れ 替わって 「 さざんか 」 と読むようになったそうです。
私はシャンソンを はかなげに 歌い、 はかなげに 楽しんでいます。

歳時記には、
” 茶花 ” 、 ” ひめつばき ” などの言葉が 初冬の季語 としてあげられています。

右写真 : 生垣として はかなげに咲く ” 山茶花 ” たち です。


◎ 銀杏落葉 ◎

落ち葉といえば紅葉が思い出されます。
  箱根美術館の素晴らしい紅葉のブログ ( できればHappyに! さん ) です。 どうぞ!
毎朝、通う道筋に 「小さなお宮の3本の大きな銀杏」 があります。   その銀杏の黄色は、太陽の光が透き通り、明るくあたたかいのです。
美しく敷き詰められた 「葉っぱたち」 を踏んで通るのが申し訳ないように思います。

初冬の一句
 「 燃えあがることなし銀杏落葉焚き 」  成恭

右写真 : 小さなお宮の 「 3本の大きな銀杏 」 です。


◎ 寒蘭 ◎

日本的な神気溢れる美しさを持つ花です。
寒蘭は花良し、香り良し、葉芸良しと言われ、調和美を発揮する植物です。
その姿は 侘び 寂び を持つ 静寂感 のある日本美の代表です。
神気的な飛行体に乗って 芳しい天空を浮遊し、美しい日本を眺めたい !

初冬の一句
 「 寒蘭の香と日溜りにあそびをり 」  甲子雄

右写真 : ” 寒蘭 ” の花  何に見えますか ?  何を感じますか ?


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